AMAZONで新品のTIG溶接機が、2万円くらいで買えるのに。
ヤフオクで、要修理品のTIG溶接機を1万円で買ってしまった。

簡単直るだろうと考えていたけど甘かった。
結局直らなかった。
自分の備忘録としてここに記する

 2021-04-30
 故障症状
TIGモードとARCモードの両方で溶接機出力が出ない。
背面の冷却ファンは回る。
前面の(電流表示の)7セグメントLEDは点灯する。
TIGモードでトーチSWをONすると、高周波は出る。

 状況を調べた結果
メインのインバーター(DC280Vを100kHzの交流にする)のHブリッジの、片側のハイサイドとローサイドのFET(23N50、4個)が内部ショート。
ショートした4つのFETのうち、3つが足が溶断。1つは足が繋がっていた。
元から付いていたFET(23N50)がショートモードで壊れていた01

サイズ変更元から付いていたFET10

ショートした4つのFETのゲートに、それぞれに直列に入っている6.8Ω金属皮膜抵抗は全て断線。
残り片側のハイサイドとローサイドのFETと抵抗は正常。
これのおかげで、ハーフリッジ状態でかろうじて100kHzを出していたので、高周波発生回路が動いた。

メインのインバーターのHブリッジのFETは、基板のシルク印刷文字は「2SK2698」。
しかし、実際に基板に付いていたFETは「23N50」。

FETのゲートに直列に入る抵抗は、基板のシルク印刷文字は「10Ω」。
しかし、実際に基板に付いていた抵抗は「6.8Ω」。

東芝のデータシートによると「2SK2698」は
ターンオフ時間が260ns、
ドレイン・ソース間オン抵抗は0.35Ω

Vishay Siliconixのデータシートによると「23N50」は
ターンオフ時間は53ns
ドレイン・ソース間オン抵抗は0.19Ω

ターンオフ時間を早くするために「23N50」に変更したのかもしれない。

FETのゲート抵抗を10Ω→6.8Ω 変更したのも、速度を早くする為かもしれない。 


 2021-05-04
秋月電子に注文した「TK31N60X」が届いたので、壊れた「23N50」の代わりに付ける。
通電した直後は溶接機出力が出た。
時間を測ってないのではっきりしないが、たぶん5分くらい経過してから。
突然「バチっ」と音がして、溶接機出力が出なくなり、ファンが止まった。

 状況を調査すると、
メインのインバーターのHブリッジのFETが全て内部ショート。
FETの足は溶断。
内部ショートして足は溶断してないかったので、過大電流が流れ、ACラインの保護回路のポリスイッチが働いて、全ての動作が停止。

ショートしたHブリッジのFETを全て外して。ハイサイドとローサイドのFETのゲート波形を調べた。
ハイサイドとローサイドのFETのゲートのデットタイムは、約0.5μsあるので、上下アームの短絡は無いと思う。
青がハイサイドのFETのゲート、黄がローサイドのFETのゲート01

ハイサイドとローサイドのFETのゲートのOFF期間は、最高でも-4Vなので、確実にOFFしてると思う。
2012-05-05 黄がローサイドのFETのゲート01

2012-05-05 DS1Z_QuickPrint8

なぜ壊れたのか原因が解らない。
現時点での原因の推測は。
FETが発振したのか? 
FETのドライブ回路が時々誤動作して、上下アームの短絡が起きるのだろうか?


2021-05-09
秋月電子に注文した 「RJH60F6DPK」(IGBT、Ic MAX 85A)が届いたので、壊れた「TK31N60X」の代わりに付ける。
気休めかもしれないが、IGBTのゲートに発振防止フェライトビーズを入れた。
サイズ変更DSC03973

通電した直後は溶接機出力が出た。

しばらくすると、異音がして、溶接機前面の「OC」の赤LEDが点灯する。
メインインバーターのHブリッジの入力に、交流用のCT(カレントトランス)が付いている。これで異常電流を検出しているらしい。
このCTの1次側をオシロでみると、妙なパルス性の過電流が流れていた。
HブリッジのハイサイドとローサイドのIGBTが、時々両方オンしているみたいだ。

HブリッジのハイサイドとローサイドのIGBTの、それぞれのベース-エミッタ波形をCH1とCH2で観る。
黄(CH1)がローサイド1のIGBTのベース-エミッタ波形、青(CH2)がハイサイド1のIGBTのベース-エミッタ波形
CH1とCH2のオシロ入力はACカップリング
青のノイズが多く見えるのは、AC100Vを整流した後の平滑が不十分でリプルが乗っているので、これは問題ない。
(画面を静止して撮影するのを忘れたので、こんな青のノイズが多い写真になった)
HブリッジのハイサイドとローサイドのIGBTが、同時オンしないためのデッドタイムが無い、これは問題あり。
RIGOL Print Screen2021-05-09 12_47_31.268

ハイサイドとローサイドのIGBTが、同時オンしないためのデッドタイムが無いのは、正常ではない。
先日に調べた時は、約0.5μsのデットダイムが有ったのに今は無い。
ドライブSUB PCBへの入力信号を観ると。ここでデットタイムが無い。
RIGOL Print Screen2021-05-09 13_18_21.897 ドライブSUB PCBの入力

本来なら下の様な波形になるはず。
                -----  
               |      | 
 -        ----        ----        - 
  |      |  ↑              |      |
   -----   ↑                ----- 
          デットタイム

制御SUB PCBが壊れていると判断する。
制御SUB PCBは、メインインバーターPCBに垂直にはんだ付けされているので。
これの修理は無理だと思う。
サイズ変更DSC03969a

サイズ変更DSC03977a



 故障の原因の推測
ドライブSUB PCBへの信号を作っている制御SUB PCBが壊れて。時々異常な信号を出していた。
このPCBが異常な信号を出すと、HブリッジのハイサイドとローサイドのFETTが、両方オンして。
ショート状態になり。大電流が流れて、FETが壊れた。
今現在は、制御SUB PCBが完全に壊れてしまい。制御SUB PCBの出力(ドライブSUB PCBの入力)はデットタイムが無い。