2021年05月

結論を先に書くと、修理は途中で諦めた。

 現状の問題点
TIG溶接にて、トーチ先端の高周波アークが弱い。
母材から0.5mmくらいまで近づけないと、高周波アークが飛ばない。
高周波を作るPCBの、高周波放電ギャップの隙間を1mm以上広げると、高周波アークが飛ばない。

高周波を作る回路は、トランスの2次側をコッククロフトで4倍圧整流している。
高周波放電が飛ばない様に放電ギャップを広げておいて。
放電ギャップの両端を電圧を測ってみると。約4000Vである。

コッククロフトの4つのコンデンサを新品に交換してみた。
しかし、高周波アークが弱いという症状は変わらなかった。

原因がわからない。
もしかすると、トランス内部の巻線がショートして2次側電圧が下がっているのかもしれない。
もしトランスが悪いとすると、修理方法は下記の2つがある。
1.同型のトランスをALIEXPRESSで探して購入して交換する。
  トランスを探すのが大変。使えるトランスが見つかるまで何度も購入して試す必要がありそう。
2.トランスを外して。24段くらいのコッククロフト回路を作る。

どちらの方法でも手間と金がかかる。

結論
これ以上修理に金と手間をかけるのは無駄だと思う。
ここで修理は止める。

この溶接機は要修理品をヤフオクで買ったので。出品者に問い合わせてみると。
被覆アーク溶接機として使っていて、TIG溶接機としては使ってない。とのことである。
もしかすると、元からTIG溶接の高周波アークは弱かったのかもしれない。

AMAZONで中国製の溶接機を買うときは、長く販売されている物。評価の良い物 を買うほうが良さそうです

諦めきれなくて修理に挑戦してみる。

 2021/5/11
中国製のインバーター溶接機は、スイッチング電源ICのKA3525が一般的に使われているので。
たぶんこの溶接機も同じだろうと推測して。
制御SUB PCBの横から、オシロスコープのプローブを入れて。波形を観測してみた。
CH1(黄)はKA3525-No.11(outputA)、CH2(青)はKA3525-No.14(outputB)
2021-05-11 0_00_53.129

この波形は、ハイサイドとローサイドのIGBTが、同時オンしないためのデッドタイムが有るので正常である。


 2021/5/12
制御SUB PCBの横から、苦労してテスターを当てて回路を調べると。
KA3525の次段のトランジスタで異常が見つかった。
S-8050(PNPトランジスタ)がオープンモードで壊れていた。
S-8050は入手に時間がかかるので、2SA1015ーGRに交換してみる。
S-8050を2SA1015ーGRに交換02
S-8050を2SA1015ーGRに交換01


トランジスタを交換した後
ドライブSUB PCBへの入力信号の波形
2021-05-15 9_36_26.264 ドライブSUB PCBへの入力信号

ドライブSUB PCBへの入力信号を測定中
サイズ変更ドライブSUB PCBへの入力信号を測定中02

これによって、ARCモードで溶接機出力が出るようになった。
2021-05-13 22_26_54.650 溶接機出力(修理完了)

しかし、TIGモードで試してみると、高周波が出なかった。どこかが壊れたらしい。


 2021/5/14
高周波を作るPCB(一番下のPCB)を外して点検した。
高周波回路をON/OFFする24Vリレーは。TIGモード時に溶接機出力が約24Vを超えると、ONする回路である。
リレーのON/OFFを外部から確認する為に、PCB裏面にリレー巻線と並列に赤LEDと10kΩ抵抗を付けた。
サイズ変更DSC04012

周波を作るPCBの、ファストン端子やコネクタピンの上から、防水コーティングが塗ってあったので、これを削って除去した。
整流ダイオード(D4204)を外して、24Vツェナーダイオードを交換05

高周波を作るPCBの、高周波放電ギャップの接点を紙やすりで磨いた。
高周波放電ギャップの根本をハンダで補強した。
サイズ変更DSC04019

高周波放電ギャップの根本のPCBパターンが弱そうなので、PCB裏面にΦ1.6銅線を追加した
サイズ変更DSC04045

続きは後日に..

AMAZONで新品のTIG溶接機が、2万円くらいで買えるのに。
ヤフオクで、要修理品のTIG溶接機を1万円で買ってしまった。

簡単直るだろうと考えていたけど甘かった。
結局直らなかった。
自分の備忘録としてここに記する

 2021-04-30
 故障症状
TIGモードとARCモードの両方で溶接機出力が出ない。
背面の冷却ファンは回る。
前面の(電流表示の)7セグメントLEDは点灯する。
TIGモードでトーチSWをONすると、高周波は出る。

 状況を調べた結果
メインのインバーター(DC280Vを100kHzの交流にする)のHブリッジの、片側のハイサイドとローサイドのFET(23N50、4個)が内部ショート。
ショートした4つのFETのうち、3つが足が溶断。1つは足が繋がっていた。
元から付いていたFET(23N50)がショートモードで壊れていた01

サイズ変更元から付いていたFET10

ショートした4つのFETのゲートに、それぞれに直列に入っている6.8Ω金属皮膜抵抗は全て断線。
残り片側のハイサイドとローサイドのFETと抵抗は正常。
これのおかげで、ハーフリッジ状態でかろうじて100kHzを出していたので、高周波発生回路が動いた。

メインのインバーターのHブリッジのFETは、基板のシルク印刷文字は「2SK2698」。
しかし、実際に基板に付いていたFETは「23N50」。

FETのゲートに直列に入る抵抗は、基板のシルク印刷文字は「10Ω」。
しかし、実際に基板に付いていた抵抗は「6.8Ω」。

東芝のデータシートによると「2SK2698」は
ターンオフ時間が260ns、
ドレイン・ソース間オン抵抗は0.35Ω

Vishay Siliconixのデータシートによると「23N50」は
ターンオフ時間は53ns
ドレイン・ソース間オン抵抗は0.19Ω

ターンオフ時間を早くするために「23N50」に変更したのかもしれない。

FETのゲート抵抗を10Ω→6.8Ω 変更したのも、速度を早くする為かもしれない。 


 2021-05-04
秋月電子に注文した「TK31N60X」が届いたので、壊れた「23N50」の代わりに付ける。
通電した直後は溶接機出力が出た。
時間を測ってないのではっきりしないが、たぶん5分くらい経過してから。
突然「バチっ」と音がして、溶接機出力が出なくなり、ファンが止まった。

 状況を調査すると、
メインのインバーターのHブリッジのFETが全て内部ショート。
FETの足は溶断。
内部ショートして足は溶断してないかったので、過大電流が流れ、ACラインの保護回路のポリスイッチが働いて、全ての動作が停止。

ショートしたHブリッジのFETを全て外して。ハイサイドとローサイドのFETのゲート波形を調べた。
ハイサイドとローサイドのFETのゲートのデットタイムは、約0.5μsあるので、上下アームの短絡は無いと思う。
青がハイサイドのFETのゲート、黄がローサイドのFETのゲート01

ハイサイドとローサイドのFETのゲートのOFF期間は、最高でも-4Vなので、確実にOFFしてると思う。
2012-05-05 黄がローサイドのFETのゲート01

2012-05-05 DS1Z_QuickPrint8

なぜ壊れたのか原因が解らない。
現時点での原因の推測は。
FETが発振したのか? 
FETのドライブ回路が時々誤動作して、上下アームの短絡が起きるのだろうか?


2021-05-09
秋月電子に注文した 「RJH60F6DPK」(IGBT、Ic MAX 85A)が届いたので、壊れた「TK31N60X」の代わりに付ける。
気休めかもしれないが、IGBTのゲートに発振防止フェライトビーズを入れた。
サイズ変更DSC03973

通電した直後は溶接機出力が出た。

しばらくすると、異音がして、溶接機前面の「OC」の赤LEDが点灯する。
メインインバーターのHブリッジの入力に、交流用のCT(カレントトランス)が付いている。これで異常電流を検出しているらしい。
このCTの1次側をオシロでみると、妙なパルス性の過電流が流れていた。
HブリッジのハイサイドとローサイドのIGBTが、時々両方オンしているみたいだ。

HブリッジのハイサイドとローサイドのIGBTの、それぞれのベース-エミッタ波形をCH1とCH2で観る。
黄(CH1)がローサイド1のIGBTのベース-エミッタ波形、青(CH2)がハイサイド1のIGBTのベース-エミッタ波形
CH1とCH2のオシロ入力はACカップリング
青のノイズが多く見えるのは、AC100Vを整流した後の平滑が不十分でリプルが乗っているので、これは問題ない。
(画面を静止して撮影するのを忘れたので、こんな青のノイズが多い写真になった)
HブリッジのハイサイドとローサイドのIGBTが、同時オンしないためのデッドタイムが無い、これは問題あり。
RIGOL Print Screen2021-05-09 12_47_31.268

ハイサイドとローサイドのIGBTが、同時オンしないためのデッドタイムが無いのは、正常ではない。
先日に調べた時は、約0.5μsのデットダイムが有ったのに今は無い。
ドライブSUB PCBへの入力信号を観ると。ここでデットタイムが無い。
RIGOL Print Screen2021-05-09 13_18_21.897 ドライブSUB PCBの入力

本来なら下の様な波形になるはず。
                -----  
               |      | 
 -        ----        ----        - 
  |      |  ↑              |      |
   -----   ↑                ----- 
          デットタイム

制御SUB PCBが壊れていると判断する。
制御SUB PCBは、メインインバーターPCBに垂直にはんだ付けされているので。
これの修理は無理だと思う。
サイズ変更DSC03969a

サイズ変更DSC03977a



 故障の原因の推測
ドライブSUB PCBへの信号を作っている制御SUB PCBが壊れて。時々異常な信号を出していた。
このPCBが異常な信号を出すと、HブリッジのハイサイドとローサイドのFETTが、両方オンして。
ショート状態になり。大電流が流れて、FETが壊れた。
今現在は、制御SUB PCBが完全に壊れてしまい。制御SUB PCBの出力(ドライブSUB PCBの入力)はデットタイムが無い。

今までは、鉄の薄板を曲げる時は、万力に挟んでハンマーで叩いて曲げていた。
しかし、私の持っている万力は小型なので、大きい板は曲げられない。

そこで、
溶接塾で貰った鉄板と角パイプを使って、板金折り曲げ用の簡易万力を自作してみた。

t10鉄板を2枚重ねて、M20のボルトで締めて。
そのままでは自立しないので。
t10鉄板の片側に、2つの角パイプを付けて支えにした。
DSC03943t

DSC03945ta


曲げる板を挟む。
サイズ変更DSC03950

ハンマーで叩いて曲げる
サイズ変更DSC03952

サイズ変更DSC03953

DSC03955t

言うまでもなく、この方法ではプレスブレーキ(プレス式の折り曲げ機)に比べると。
曲げ精度は悪い。仕上げは汚い。ハンマーで叩いて音がうるさい。
などの欠点があります。

いつの日か、金が貯まったら。プレスブレーキを買いたいです。

約1年前に、下記の白防炎シート(2.7m×3.6m)を使ってバイクカバーを作った
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B083NFPQKM/

これは、ポリエステル系に塩ビコーティングしているので、紫外線に強いのを期待していたけれど。
約1年でボロボロになった。

前回のUVカットシートは2年もったのに、防炎シートは紫外線に弱いようである。

今回は下記の、アイリスオーヤマ UVカットシート 2.7mX3.6mを使ってバイクカバーを新調してみた。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B083NFPQKM/

今回はのは2年はもってほしい。
サイズ変更DSC03707

雨ざらしで4年くらい長持ちする防水シートはないものかな。

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